Yuuka

2/3に仏教伝道協会さまで開催された仏教ヨガ講座で
お話させて頂いた法話です。



今日は23日節分です。
豆まきをしたり、恵方巻きを食べたり、各地で様々なイベントが行われていますが、皆さんはどのようにお過ごしになりましたか?
節分は季節を分けると書きます。暦の上では今が一番寒い時期とされ、明日は立春、春の始まり。ですから今日は新しい春の前日、春を迎える大晦日というわけです。
新しいスタートの前には大掃除をしたり厄払いをしたりと様々ありますが、やはり悪いものをきれいさっぱり追い出して準備をしたいものです。


「鬼は外、福は内!」と言いますが、皆さんにとって鬼とはなんですか?
仏教では、私たち人間誰もが、煩悩という鬼を宿していると説かれています。
煩悩の根源3つを三毒といい、青、赤、黒の3匹の鬼に譬えられます。
この3匹の鬼は昔から仏道修行の邪魔をする大敵とされています。
 ①青鬼は「欲望の心」。欲望のTOP5、食欲、性欲、睡眠欲、物欲、名誉欲。
とめどなく続く欲望の心。気がつくと欲望に飲み込まれ自分が見えなくなってしまうことも。「欲望の心」は全てを飲み込む濁流の水の青に譬えられ、「貪(とん)」といいます。
 ②赤鬼は「怒りの心」。欲望の心が邪魔をされると、怒りの炎が”カッ”と燃え盛り、取り返しのつかないことをする恐れが誰にでもあります。「一時の気の迷いで」とか「カッとして我を忘れてしまって」など、世間を騒がせる大事件は「怒りの心」と決して無関係ではありません。「怒りの心」は自分自身を焼き尽くす炎の赤に譬えられ、「瞋(じん)」といいます。
 ③黒鬼は「愚かな心」。私達自身は「欲望」や「怒り」に支配され、そのことにすら「気づくこと」が困難です。そのために正しいことは分かっていても行動に移せなかったり、知らず知らずのうちに悪いことを犯していることもあります。まさに無明の暗がりをさまようような私達の「愚かな心」。それを暗闇の黒に譬え、「癡(ち)」といいます。





ではどのようにしてこの3匹の鬼を退治すればよいのでしょう。
豆まき?も大切です。昔は毎年おばあちゃんと豆まきをしました。2.3日後に物置の影から1粒だけ出てきた豆を食べた時の何とも言えない感じが思い出に残っています。





欲望、怒りに支配され真実を見ることができない、まるで怒りというホコリで曇ったメガネのレンズから世界を覗いているようなものです。それは正しい心で見る真実ではない事に気づいていない状態です。
例えば、遅刻しそうで大慌てで電車に乗り、何かわからないけどイライラしている。そこへ電車が急停車、隣の人がよろめいて私の足を思いっきり踏んできた。ごめんなさい、大丈夫ですと会話を交わしつつも心の中は大荒れです。「くそ!痛いじゃないか!もうなんて日だ!」こんな時があったとします。この出来事をよく振り返り分析しみてみると、、、昨日の夜ネットサーフィンで夜更かし、朝寝坊をして朝食を食べられなかった。睡眠欲と食欲が満たされず腹を立てていたのです。それに気づいていたらどうでしょう。煩悩に捕らわれた弱い自分であることを自覚することで怒りはやがて静まるでしょう。次の日は早寝早起きをして、ゆっくりと朝食をいただき、優雅に電車に乗ります。よろめいてきた人はよく見ると妊婦さんでした。手を差し伸べて大丈夫ですか?と気遣うことができます。




メガネが曇っているのに気づいたらホコリを拭い取れば視界は良くなり快適になります。しかし感情的になってしまっている時に「気づく事」というのは安易なことではないかもしれません。
ですが実は皆さんがこれから行うヨガはこの「気づき」の連続なのです。ヨガをしている最中は出来るだけ今の自分自身に集中します。腕を上げている、膝を曲げている、息を吸っている、肩が痛い、呼吸が止まっている、脇が伸びている・・・自分を自分で静かに実況中継しているような感じで、今、この瞬間に気づいている。その連続なのです。
始めは良くわからないかもしれません。どうしても気が散って他の事を考えてしまうこともあると思います。しかし集中できていない自分に気づくことが出来たらそれは大きい大一歩です。その後は簡単、また集中に戻るだけです。それを何度も繰り返していく、いわば、気づきのセンサーを鍛えるトレーニング、これがヨガの練習なのです。慣れてくると頑張らなくても自然に集中が持続していきます。そしてそれが習慣になると日常でも活かされていきます。あー、今イライラしているな、怒っているな、と気づくことが出来たらもうその時点で既に怒りは抑えられます。その後は静かに怒りの原因を究明し、正しい行いが出来るようになることでしょう。煩悩に捕らわれ感情に任せた言動をしてしまう前にそれを慎むことが出来るようになるのです。




鬼は外、福は内。「私が、私が」と欲張らないように。「私」という字は、3匹の鬼=三つの棒を取り除くことで「仏」という字になります。私たちの心に巣喰う3匹の鬼を追い払い、クリアな心のレンズで美しく正しい世界を見ることが出来るように、精進していきましょう。
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